花粉症に対する注射
花粉症に対する注射薬とは

花粉症に対して、ゾレアという注射薬が保険診療で認められています。
これは、通常の飲み薬や鼻スプレーなどを使ってもコントロールできない、重症なスギ花粉による鼻炎症状に使われる注射薬です。
1~5月の花粉飛散時期に3~5ヶ月程度、2~4週間おきに外来でゾレアの注射を行います。
重要な点として、
・花粉症を根本から治す薬ではありません
・特に重症な患者さんで、特定の条件を満たす方のみ使用できます
・保険診療ですが、それでも高額です(小児医療証は使えます)
・2~4週間おきの受診が必要です
などが挙げられます。
ゾレアの効果、副作用、安全性
2018年に行われた臨床試験では、ゾレアは症状ピーク時の鼻炎症状の程度を改善する効果が見られ、副次的に目のアレルギー症状も改善することも示されました。
副作用は主に注射部位の赤みや腫れで、治験では1.2%の方で肝酵素上昇を認めました。稀にアナフィラキシーを起こすこともあります。
妊婦、授乳中の方に対しては、安全性が確立されていませんので、当院では投与しない方針としています。
ゾレアを受ける条件
当院で花粉症に対してゾレアを受けるには、特定の条件を満たす必要があります。
①12歳以上
②スギ花粉によるアレルギー性鼻炎と診断されている
③血液検査でスギ花粉への反応がクラス3以上
④血液検査で総IgEが30~1500 IU/mLの範囲(体重によって上限は変わります)
⑤点鼻ステロイド(鼻スプレー)、抗ヒスタミン薬を1週間以上併用しても、コントロール不十分な鼻症状続く
(鼻水、鼻詰まり、鼻のかゆみ/くしゃみが全てあり、そのうちどれかが鼻アレルギー診療ガイドライン上「重症」以上であること)
原則として②~⑤については、当院で評価する必要があります。大変恐縮ですが、適切な保険診療を行うために当院以外での過去のデータ、他院での診断は流用できないことをご了承ください。
①~⑤を満たしても、持病や投薬内容によってはゾレアを実施できない可能性がありますので、受診時にご相談ください。また、妊娠中、授乳中の方については児への安全性が確立されていないため、当院では行っておりません。
当院でゾレアの治療を受けるまでの流れ
当院でゾレアを希望する方は以下の図のような流れでまずは適応があるかの評価を行います。
受診してすぐ投与できるわけではないことをご承知おきください。

初回受診でまず問診票を記載して頂き、ゾレアを打てる可能性があるかスクリーニングを行います。同日血液検査も実施し、ゾレア、舌下免疫療法について情報提供を行います。点鼻ステロイドと抗ヒスタミン薬を処方し、それを次の受診まで、少なくとも1週間以上継続して頂きます。2回目の受診で再度問診票を記載していただいて重症度判定を行い、血液検査結果説明をお渡しします。2回の問診票による重症度判定および血液検査結果で、ゾレアが使えるか、使う場合の投与量・頻度、そしてそれによってどれくらいの治療費がかかるかが決定します。それらを踏まえてゾレアを希望する方は、後日初回のゾレアを投与します(取り寄せに数日かかるため)。
ゾレア投与当日の流れ
ゾレアを打つ当日は、体調不良の有無の確認を行った後、皮下注射を行います。投与量によって注射は1本か2本で、上腕に投与します。
その後、アレルギー反応が出ないかを初回は30分程度、2回目以降は10分程度院内で経過観察します。
よくあるご質問
ゾレアは自宅で打つことは出来ますか?
蕁麻疹などに対するゾレアは自宅で行なえますが、花粉症に対するゾレア投与は自宅では保険診療上出来ません。
ヒノキ花粉症ですが、ゾレアは使えますか?
ゾレアはスギ花粉に対するアレルギー性鼻炎にのみ適応があるので、他のアレルゲンによるアレルギー性鼻炎や、鼻症状が重症ではないスギ花粉症には使えません。
いくらくらいかかりますか?
採血結果、体重によって投与量・頻度は変わります。例をいくつか上げると以下のとおりです(2025年4月現在)
。
| 例 | 1回あたりの投与量 | 頻度 | 1ヶ月あたりの薬剤費の自己負担額 (3割負担の場合) |
| 体重42 kg, 総IgE 450 IU/mLの方 | 450 mg | 4週間おき | 19191円/月 |
| 体重57 kg, 総IgE 1160 IU/mLの方 | 600 mg | 2週間おき | 48109円/月 |
| 体重66 kg, 総IgE 564 IU/mLの方 | 375 mg | 2週間おき | 32581円/月 |
| 体重73 kg, 総IgE 840 IU/mLの方 | 600 mg | 2週間おき | 48109円/月 |
ゾレアを始めた後は他の薬はやめてもいいですか?
少なくとも抗ヒスタミン薬は続ける必要があります。
