アトピー性皮膚炎に対する注射
アトピー性皮膚炎に対する注射薬とは
重症なアトピー性皮膚炎に対して、注射薬が保険診療で使えることがあります。この注射薬は生物学的製剤と呼ばれ、アトピー性皮膚炎に使えるものは具体的にはデュピクセント、ミチーガ、イブグリース、アドトラーザの4種類です。
アトピー性皮膚炎のページでご紹介したように、アトピー性皮膚炎では皮膚の炎症が関わっています。デュピクセントをはじめとする生物学的製剤はこの炎症の連鎖反応のどこかを止めることで作用します。
生物学的製剤は効果は高いものの、高価な薬剤であり、どれも重症なアトピー性皮膚炎の患者様にしか使えません。また、大体どれも6ヶ月以上はstrong class以上のステロイドを適切に使ってても皮膚の状態が悪いという条件を満たす必要があるので、strong class以上のステロイド軟膏を半年以上しっかり使っていない方には保険診療上使えないことに注意が必要です。
当院では基本的にはデュピクセントの投与を行っていますが、軽く他の注射薬にも触れておきましょう。
デュピクセント
デュピクセントは、IL-4とIL-13という伝達物質を止めることで作用します。生後6ヶ月から使用可能で、アトピー性皮膚炎の湿疹の改善を期待できます。一番古くから使われているアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤で、慢性副鼻腔炎や慢性特発性蕁麻疹にも使われます。適応は徐々に拡大し、今は生後6ヶ月から使えます。副作用としてはアレルギー性結膜炎が有名です。
ミチーガ、イブグリース、アドトラーザ
ミチーガは、IL-31というかゆみのシグナル伝達物質を抑えます。他のアトピー性皮膚炎の生物学的製剤の適応が「アトピー性皮膚炎」に対して、ミチーガは「アトピー性皮膚炎によるかゆみ」に効きます。かゆみに特化しているため炎症を抑える働きは他に比べて弱く、湿疹をよくならない可能性もあります。少しだけ他の薬より湿疹が軽くても使える可能性があります。6歳以上で使えます。
デュピクセントがIL-4とIL-13を止めるのに対して、イブグリースやアドトラーザはIL-13のみを抑えます。イブグリースは12歳以上、アドトラーザは成人でしか使えません。イブグリースは効果が長いので、デュピクセントだと2週おきに注射しなければならない人が4週おきで済むことがあります。アドトラーザはデュピクセントで出やすいアレルギー性結膜炎の副作用が出づらい可能性が指摘されています。
デュピクセントの適応
アトピー性皮膚炎の方にデュピクセントを使用する場合、患者様は以下のような条件を満たしている必要があります。
① 生後6ヶ月以上、体重5 kg以上
② Strong class以上のステロイド外用薬 or カルシニューリン阻害薬を適切に直近6ヶ月以上使っている
③ それでも皮膚の状態が悪い(当院医師がスコアリングします)
③は湿疹の面積・程度などでスコアをつけて、「何点以上だったら適応がある」、という形なので、医師が判断することになります。
デュピクセントの投与のスケジュール
適応があり、希望のある方はデュピクセントを発注して後日開始します。体重によって以下のようなスケジュールになります。
受診してすぐ投与できるわけではないことをご承知おきください。

なお、外来で注射指導を数回受ければ自宅で注射を続けることも可能です。ご希望のある方は教えてください。
デュピクセント投与当日の流れ
デュピクセントを打つ当日は、体調不良の有無の確認を行った後、皮下注射を行います。注射は1本か2本で、上腕に投与します。
その後、アレルギー反応が出ないかを初回は30分程度、2回目以降は10分程度院内で経過観察します。
よくあるご質問
デュピクセントはいくらくらいかかりますか?
体格によります。製薬会社が計算するためのサイトをご用意してますので、こちらを参考にして下さい。あくまでデュピクセントそのものの価格で、診察料や在宅自己注射指導料などは別です。
ただし、小児では小児医療証が使えます。
デュピクセントはいつまで続ける必要がありますか?
中止すると再び皮膚の状態が悪化することは多いですが、自然に体質が改善していれば減量・中止できる可能性はあります(デュピクセント自体では体質改善する効果は期待できません)。
どれくらいで効果が現れますか?
数週間で現れることが多いです。皮膚の状態が経時的にどういうペースで良くなったのか、デュピクセントを販売しているサノフィ/リジェネロン社の治験の結果では、最初の3ヶ月(特に最初の1ヶ月半くらい)で良くなることが多かったです。
