インフルエンザ
インフルエンザの予防接種については、こちらをご覧下さい。
インフルエンザの特徴
インフルエンザは主にA型とB型が毎冬のように流行し、10-1月頃にA型、1-3月頃に遅れてB型が流行することが典型的です。一方、夏に季節外れに流行することも時々あります。
症状は一般的なかぜのウイルスよりも強いことが多く、以下のような症状が多いです。
・高熱
・だるい
・頭痛、関節痛、筋肉痛
・咳、鼻汁、喉の痛み
・(インフルエンザBでは)下痢、吐き気、腹痛
熱は出た後に一回下がり、また上がる、という経過(二峰性発熱)をたどることが多いです。
ただ、熱を伴わないことや、目の痛みを伴うなど多彩な臨床像を持つこともまたインフルエンザの特徴です。
インフルエンザの検査
一般的には抗原検査が行われます。鼻の検査として大人子ども関係なく嫌がられています。当院では高感度な抗原検査キット(イムノエース)を使用しています。
検査のタイミング
ラピッドテスタという昔からある検査キットを使用した研究では、12時間以内では感度39%, 12-24時間でも40.5%という報告があり、別の研究でも少なくとも12時間経つまでは検査すべきではないと報告されています。
一方、当院が採用している検査キットのイムノエースでは、3時間未満でも92%の感度があるとする報告や、12時間以内でも感度100%だったとする報告もあります。
実際の経験的には、発症後2,3時間で陽性になる方もいれば、一度陰性だったものの翌日再検査で陽性になる方もいます。特にインフルエンザBは少し時間がかかることが多い印象はあります。
このため、
・12時間以内の検査で陰性だったとき、検査前確率が低くなければ、翌日以降の再検をおすすめしていますし、
・12時間経っていて検査で陰性だった時は、検査前確率がそれなりに高かったり、その後家族内にインフルエンザにかかった人が出たりなどがなければ再検はしなくてもよいと考えております。
つまり、検査のタイミングは「できれば発熱12時間以降が望ましいが、陰性だったら再検になる可能性があることをご理解頂ければ12時間以内でも実施しています」という形です。
検査の痛み
検査キットのイムノエースに使う検体は、ホームページでは、
・鼻咽頭拭い液(いわゆる、鼻の一番奥まで棒を入れる検査)
・鼻腔吸引液(吸引器で鼻を吸う検査)
・鼻腔拭い液(鼻の手前だけ棒でこする検査)
・鼻汁鼻かみ液(鼻をかんでもらって出た鼻水を使う検査)
・咽頭拭い液(喉を棒でこする検査)
などが紹介されています。ただ、検体の取り方によって、検体に含まれるウイルス量が変わるので、感度に差が出ます。
検体による感度の違いを調べた研究は複数ありますが、
①鼻咽頭が一番感度高い
②鼻腔拭い液はそれより5%くらい感度が下がる
③鼻腔吸引液/鼻汁鼻かみ液は鼻腔拭い液並みだが、エビデンスの質は少し低いのと、鼻汁が少ないと厳しい
④咽頭拭い液は感度低い
などが言えます。
当院では、④のため咽頭拭い液はしてません。③についてもいくつか研究結果があるものの、サンプル数が少なく、また鼻汁の量にも大きく影響されるようなので、基本的には鼻汁鼻かみ液は行っていません。
このため、当院では「12時間以上経過している場合は鼻腔拭い液(鼻の手前だけ棒でこする)、12時間経っていない/鼻汁がかなり少ない場合は鼻咽頭拭い液(鼻の奥を棒でこする)」を基本としつつ、検査に対して感じる痛みや、検査がそもそも必要か、検査前確率などによって代わるのでケースバイケースで判断しています。
インフルエンザの治療薬
インフルエンザをやっつける薬は、数種類あります。実際当院でよく使うものは以下の3つです。
| 薬剤 | タミフル | イナビル | ゾフルーザ |
| 剤形 | 粉・カプセル | 吸入 | 顆粒・錠剤 |
| 回数 | 1日2回×5日 | 1回のみ | 1回のみ |
| 対象年齢 | 生後2週間~ | 6歳~ | 6歳~ |
| 副作用 | 悪心、下痢 | 咳、喉の刺激、悪心、下痢 | 悪心、下痢 |
| 特徴 | 実績長くて安定している | 1回で終わる点が優れている。 | 1回で終わる。低年齢のA型では耐性ウイルス出現が懸念されるが、B型の年長児には良い適応 |
| A型への使用 | ◯ | ◯ | △~◯ |
| B型への効果 | ◯ | ◯ | ◯~◎ |
タミフル
タミフルは使用経験が長く、一時期異常行動との関連が懸念されて10代では処方禁止になってましたが、今は因果関係は否定され、問題なく処方可能です。朝夕で5日間飲まなければなりませんが、乳児を含めた全年齢に安心して使えるところが強みです(味は苦いですが・・)。解熱までの期間を1日強短くすることが期待できます。
イナビル
1回の吸入で治療が終わり、タミフルと同等の効果が期待できることが最大の強みです。一方で、しっかり吸えないといけないので5歳以下では使わないほうが良いところ、コントロールの悪い喘息では発作を起こすリスクが有るところ、咽頭刺激が出るところなどがデメリットなので、しっかり吸えて喉の弱くない年長以降の児にオススメです。
ゾフルーザ
1回の内服で治療が終わることが最大の強みです。もともとは耐性ウイルスなどのこともあり、12歳未満ではあまり勧められませんでしたが、知見も増えてきて、2025/2026シーズンでは6歳以上では選択肢になっています(5歳以下では耐性ウイルス出現リスクのためオススメできません)。ただ、6~11歳のインフルエンザA型については慎重投与となっています。むしろ、インフルエンザB型の解熱までの期間がタミフルより15時間早いという報告もあり、インフルエンザB型では特に効果が高い可能性があります。
このように、お子さんの年齢やインフルエンザの型、既往歴などから相談して選択します。
よくあるご質問
インフルエンザの潜伏期間はどれくらい?
1-4日(平均2日)と報告されています。
インフルエンザはいつまで人にうつす可能性ある?
インフルエンザにかかった方が排出するウイルスの量は、発症後48h頃までにピークを迎え、発症後6,7日目頃にはほとんど出さなくなります。
インフルエンザの治療薬は必ず必要ですか?
重症な方や重症化リスクの高い方以外は、そもそも抗インフルエンザ薬を使わなくても自然に治るので、薬を使わないのも選択肢としては全然ありです(むしろ世界的には自然治癒が標準です)。例えば、どうしてもタミフルが苦くて内服できない幼児では自然治癒を目指すのもいい選択肢だと思います。
なんかうわ言を言ったり、変なことを言ったりしていますがどうしたらよいですか?
熱せん妄のことも多いですが、インフルエンザによる急性脳症の可能性もありますが。数十分以内に普段通りになれば熱せん妄の可能性が高いですが、1時間以上様子がおかしい場合、けいれんを伴う場合は医療機関を受診しましょう。
家族にインフルエンザにかかった人がいますが、どうしたら良いですか?
手洗い、うがい、マスク、隔離などの感染対策はとっていただくとして、どうしても今かかるわけにはいかない方は、インフルエンザ予防のためにタミフルの予防投与という選択肢があります(7~10日間タミフルを予防的に内服するという方法です)。自費診療になりますが、ご希望の方はご相談下さい。
園や学校はいつから行ってよいですか?
学校保健安全法で、発熱後まる5日、かつ解熱後まる2日(幼児はまる3日)は出席停止となります。
インフルエンザは短期間に2回かかることはありますか?
インフルエンザA型とB型はだいぶ別物なので、それぞれにかかることは珍しくありません。A型の中で2種類以上の株が流行していれば、A型に2回かかることもありますが、こちらは比較的稀です。
