けいれん
けいれんとは
私たちの脳は、神経細胞が電気信号を使って情報をやり取りすることで機能しています。例えば、手を動かそうと思ったら、そこに担当する脳の部分が「手の筋肉に力を入れて」という電気信号を送ります。
けいれんは、何らかのきっかけで意志と関係なく、多くの神経細胞が無秩序に電気信号を送ってしまう結果、あちこちに力が入り、さらに他の神経細胞にも電気信号が波及して、全身痙攣や意識障害を起こします。この電気信号が脳で巡っている状態がけいれんの仕組みです。
けいれんの原因
熱を伴うけいれん
熱性けいれんが一番頻度が高い病態です。5歳までのお子さんで起こることが多く、おおむね10人に1人くらいは経験すると言われています。高熱で脳の神経細胞がエラーを起こし、まだ脳が未熟なのでそのエラーを食い止められず異常な電気信号が広がってしまうイメージです。けいれんが終わったら、けいれんの持続時間にもよりますが、10~数十分で意識が戻り、割と普段通りになることが特徴です。
頻度は減りますが、急性脳症や中枢神経感染症ではけいれんを起こすことが多いです。これらではけいれんが長い、なかなか止まらない、けいれん後も意識が戻らない、などの危険な兆候があります。
熱のないけいれん
てんかんが有名ですが、これは脳の一部に異常な電気信号を出す部分がある病態です。特徴としては、発熱などない時も誘引なく起こり、繰り返すところです。てんかんの原因も様々で、あまり心配のいらないてんかんのお子さんもいれば、発達などに影響が出る危険なてんかんもあります。大きな病院で、脳波検査を行い、普段から異常な電気信号を出しているか調べることが多いです。
憤怒けいれんは、泣き過ぎることで脳への血流が低下し、神経細胞がエラーを起こして起こすけいれんです。他にもあまり食べれていない子では低血糖でけいれんを起こすこともあります。胃腸炎でけいれんを繰り返す胃腸炎関連痙攣などもあります。
けいれん時のご家庭での対応
① まずは安全確保。けいれん時に例えばベッドから落ちたり、ガラスで怪我したりしないように安全なところに寝かせましょう。
② 顔を横向きにしておきましょう。けいれん時や、けいれんの前後で嘔吐してしまうことがあります。それが気道に入らないように注意して下さい。
③ けいれんの時間を把握しておきしましょう。けいれんがどれくらい続いたか、という情報は、けいれんの重症度やその後のマネジメントに大きく影響しますので、大体で良いので持続時間を把握しておくようにして下さい。
また、余裕があれば動画を撮っておいてもらえると、本当にけいれんなのかや、けいれんの原因を把握する上で役立ちます。
けいれん時の受診について
個人的には、けいれんしたら救急車呼ぶ、で大丈夫だと思っています。時々けいれんがおさまってるのに救急車呼ぶな、と怒る先生もいらっしゃいますが、自家用車で病院に向かっている時に後部座席でけいれんを起こしても怖いので。
ただ、深夜だったり、これまでも何回も熱性けいれん繰り返してたり、小さい御兄弟がいたりで、なるべく受診は避けたい方もいらっしゃいます。なので、受診はなるべく避けたい方でも、「少なくとも」以下の場合は受診するようにして下さい。
すぐに救急車を呼んだほうが良い場合
・けいれんが5分以上続いている(5分以上続くと自然に止まりづらくなってくる)
・けいれんが止まって少ししても顔色が悪い
・けいれんが止まって数十分経つのに意識が戻らない、様子が変
すぐに受診したほうが良い場合(これも救急車呼んでもOK)
・けいれんを24時間以内に繰り返している
日中でも良いので受診したほうが良い場合
・熱がない時のけいれんで、止まった後は元気そう
よくあるご質問
けいれん時に顔色悪くて歯を食いしばってるけど口開けてあげたほうが良い?
何もしないで下さい。けいれんでは顔色悪くなることが多く、また力が顎に入って歯を食いしばることも多いです。ただ、指やおはしで無理やり開けようとすると、それで歯が折れたり、指をけがしたり、空気の通り道がふさがったり、嘔吐したりと様々なリスクがあるので、歯を食いしばってても特に何もしないで下さい。
けいれんを起こすと脳に障害を残しますか?
一般的には短時間で単発のものはあまり心配いりません。動物実験では、30分以上続くと脳に不可逆的な変化を起こす可能性が出てくると報告されています。
熱性けいれんを起こすと将来的にてんかんになる危険はありますか?
多くの短い熱性けいれんの場合はリスクは上がりませんが、発作が長かったり、左右差がある発作を繰り返したりすると、将来的なてんかんのリスクはやや上がります。
熱性けいれんの予防薬は使ったほうが良い?
熱性けいれんの予防には、ダイアップという座薬が使われます。使ったほうが良いかはケースバイケースですが、医学的には
・過去長いけいれんを起こしたことがある
は使ったほうが良いとされています。このようなお子さんでは、まだ今回の発熱でけいれんを起こしていなくても、発熱に気づいたタイミングで使用します。
ただ、
・今回はけいれん起こすと困る
・何回も繰り返している
・けいれん起こさないかの不安が強い
などの事情でも使われることもよくあります。
ダイアップの使い方や注意点は?
ダイアップは一般的には1回のお熱のエピソードに対して、2回投与します。熱に気づいた時に1個使い、その8時間後にまだ発熱が続いていた場合はもう1個使います。その後は熱が続いても追加で使用する必要はありません。
ダイアップは神経の興奮を抑える薬なので、眠気が強くなるお子さんもいます。それも踏まえて使用するか相談しましょう。
解熱剤を使うと熱性けいれんは予防できますか?ダイアップと併用しても大丈夫ですか?
解熱剤は基本的に予防効果はありません。一応、1回けいれんを起こしたエピソード中は使っておいたほうが2回目のけいれんを予防できたという報告はあります。ただ、てんかんなどのないお子さんでは、熱性けいれんを予防するためにルーチンで投与することは推奨しません。あくまで熱のつらさを和らげる目的で使うようにしましょう。
ダイアップと解熱剤は役割が異なるので、併用してもらって大丈夫です。
どういう場合脳波の検査を受けたほうが良いですか?
多くの短いけいれんでは脳波は必要ありません。一方、熱がない時のけいれんを繰り返す場合、長いけいれんを経験した場合などは検討されます(そのときは大きな病院あての紹介状を作成します)。
