嘔吐
嘔吐の原因(胃腸炎など)
子供が吐いてしまうことは、頻度の多いものの心配になる症状の代表格ですが、その原因は多岐にわたります。
まず、一番頻度が高いものは胃腸炎(いわゆる「おなかのかぜ」)です。たいていはウイルスが悪さをしてのことが多いですが、時々食中毒などで細菌が悪さをしている細菌性腸炎のこともあります。下痢を伴う場合の嘔吐は多くの場合胃腸炎です。
また、急に始まる嘔吐で比較的頻度が高いものとしては、乳児期~幼児期は腸重積、幼児期~は急性虫垂炎(盲腸)やIgA血管炎、学童期後半~思春期の卵巣茎捻転などが挙げられます。詳しくは腹痛のページをご覧ください。
新生児期に問題になる嘔吐としては、肥厚性幽門狭窄症という、胃の出口が狭くて、大量に吐いてしまうという病気があります。噴水のように吐く、体重の増えが悪いなどあれば超音波検査が必要になります。
消化器系以外の病気でも嘔吐することは多く、代謝の病気(糖尿病性ケトアシドーシス、アセトン血性嘔吐症など)、頭の病気(頭部外傷、片頭痛、、髄膜炎など)、めまいの病気(急性中耳炎の内耳への波及、小児良性発作性めまいなど)など様々な可能性があります。
このように原因は多岐にわたるため、医師でも最初は原因の特定が難しいことがあります。それでも様子を見て良い嘔吐かどうかの判断はできますので、嘔吐を繰り返す場合は、「軽い胃腸炎だろう」と決めつけず、早めの受診をご検討ください。
嘔吐の薬
ナウゼリン(ドンペリドン)
嘔吐によく使われる薬は、ナウゼリン(ドンペリドン)の座薬や錠剤です。ただ、正直な話、ナウゼリンを使うことで嘔吐が抑えられることを示す質の高いエビデンスはなく、飲んでも飲まなくても変わらないという研究結果が複数あります。本当に効果が示されているのはオンダンセトロンという薬ですが、がんや術後の嘔吐にしか使えない薬です。そのため、ナウゼリンはルーチンでは処方していませんが、ただ結構吐き気がつらそうって場合は、ナウゼリンを試してみるのは全然ありだと思いますので処方しています。
五苓散
西洋医学で効果があると証明されているオンダンセトロンが使えませんが、五苓散という漢方も吐き気に効果は期待できます。一方、苦みのある漢方であることや、ただでさえ気持ち悪いときに飲むことは難しいことも多いです。五苓散を粉砕してお湯に溶かして、おしりから入れるというやり方もあります。当院でも今後できるように準備していきます。
ご家庭でできるケア
胃腸炎などでは脱水にならないように水分をとりつつ、お腹を休ませてあげることが重要です。
水分の取らせ方(経口補水療法、ORT)
| 体重 | 5分毎 | 1時間毎 |
| 10 kg | 10 - 20 mL | 125 - 250 mL |
| 20 kg | 20 - 40 mL | 250 - 500 mL |
| 30 kg | 30 - 60 mL | 375 - 750 mL |
| 40 kg | 40 - 80 mL | 500 - 1000 mL |
気持ち悪いときは、おなかが大変敏感です。それでも脱水を防ぐためには適切な水分を補給する必要があります。そこで実践頂くのが経口補水療法(ORT)です。ORTは表を目安に、5分おきに少量ずつ水分を取らせる方法です。おなかに気づかれないように水分を少量ずつ入れてあげるイメージです。
・量の目安として、ペットボトルの蓋が約5 mL、大さじ1杯が約15 mLです。
・吐いてしまったら20分程度休憩しましょう。
・吐かなければ10-15分おきに5 mLずつ1回量を増やしていきましょう。
水分の種類
水分は、糖分・塩分が入っている経口補水液がベストです。
・OS-1
・アクアライトオーアールエス
・クラシエの経口補水液
ただ、味が好みじゃない場合は、スポーツドリンクでも良いです。卒乳していない赤ちゃんは母乳やミルクだけで大丈夫です。
食べ物について
水分を吐かずに取れるようになったら、無理のない範囲で食事を再開しましょう。脂質やタンパク質をあまり含まない炭水化物中心が良いでしょう。
| 適した食べもの |
| 白米、おかゆ、うどん、そうめん、フルーツ、ゆで野菜など |
| おすすめしない食べ物 |
| 刺激の強い食べ物(辛いもの、酸っぱいものなど)、脂っこいもの(揚げ物、肉)、乳製品(チーズ、牛乳など) |
胃腸炎の経過
多くの場合、吐き気や嘔吐の症状が強いのは初日、2日目あたりです。下痢はその後も続くことは多く、1週間位してからようやく下痢が良くなってくることも珍しくありません。赤ちゃんでは下痢が長引く場合は二次性乳糖不耐症のこともあります(詳しくは下痢のページをご覧ください)。
受診の目安
すぐに受診したほうが良い場合
・ぐったりして意識がぼんやりしている
・経口補水療法(ORT)をしても水分が取れない
・おしっこが少ない(目安として、乳児で6h以上、幼児で8h以上、学童で10h以上おしっこが出ない)
・血便が出る、強い腹痛が続く
よくあるご質問
水分を取ってもすぐ吐いてしまうのですが
一度に飲む量が多いと、おなかがびっくりして吐いてしまいます。上記の経口補水療法(ORT)を行い、それをしてても水分が取れず尿量が減ってくる、ぐったりしてくる、顔色が悪いなどがあるようならば受診して下さい。
全然食欲がないのですが、大丈夫ですか?
短期間であれば問題ありません。嘔吐があるときは無理に食べさせる必要はなく、まずは水分補給を優先しましょう。食事は、吐き気がおさまり水分がとれるようになってから、少しずつ上記の食べ物を再開すれば大丈夫です。
何を飲ませればいいですか?
上記でご案内している経口補水液がベストで、次点でスポーツドリンクです。逆に、避けるべき飲み物は、吸収されづらい牛乳やジュース原液です。水・お茶は飲んでも大丈夫ですが、それだけだと塩分や糖分は足りなくなるので、他の水分もとるようにしましょう。赤ちゃんは普段の見慣れている母乳やミルクで大丈夫です。
吐いたあとすぐに寝かせても大丈夫ですか?
問題ありませんが、横向きに寝かせると安心です。仰向けのままだと、吐いたものが気道に入る可能性があります。
