新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
子どものCOVID-19の特徴
子どもも成人と同じように新型コロナウイルスに感染しますが、感染した場合の症状や重症度には違いがあります。これまでの研究では、子どもは成人に比べて、
- 無症状または軽症で経過する割合が高い
- 肺炎や呼吸不全に進行する割合が低い
- 入院や集中治療が必要になる割合が低い
- 死亡に至ることは非常にまれ
という傾向が一貫して報告されています。小児COVID-19のシステマティックレビューでも、成人と比較して臨床症状が軽く、予後が良好であることが示されています。成人では発熱、強い倦怠感、筋肉痛、嗅覚・味覚障害、咳、肺炎などが問題になることがあります。一方、子どもでは鼻水、鼻づまり、のどの痛みなど、通常の風邪と区別しにくい症状だけで終わることが多いです。
ただし、「子どもは絶対に重症化しない」という意味ではありません。乳児、重い基礎疾患のあるお子さん、免疫機能が低下しているお子さんなどでは、個別の評価が必要です。
COVID-19の検査
一般的には抗原検査が行われます。当院では高感度な抗原検査キット(イムノエース)を使用しています。
検査のタイミング
発症当日でも抗原検査で陽性になることはあります。一方、症状が始まって数時間しか経過していない場合には、まだ鼻腔内の抗原量が検出限界に達しておらず、陰性になる可能性があります。そのため、発症当日の陰性結果だけでCOVID-19を否定することはできません。一般には、翌日以降の方がウイルス量が増え、抗原検査で検出しやすくなる可能性があります。ただし、「発症何日目なら必ず正確」という明確な境界はありません。発症後4~5日目に検出しやすいとする研究がありますが、これは主として成人を対象とした研究です。子どもでも一律に4~5日目が最適とは限らず、検査のために数日間待つ必要はありません。
実務的には、
・発症当日の検査で陰性だったとき、検査前確率が低くなければ、翌日以降の再検をおすすめしていますし、
・発症翌日以降の検査で陰性だった時は、検査前確率がそれなりに高かったり、その後家族内にCOVID-19にかかった人が出たりなどがなければ再検はしなくてもよいと考えております。
つまり、検査のタイミングは「できれば翌日以降が望ましいが、陰性だったら再検になる可能性があることをご理解頂ければ発症当日でも実施しています」という形です。
検査の痛み
検査キットのイムノエースに使う検体は、ホームページでは、
・鼻咽頭拭い液(いわゆる、鼻の一番奥まで棒を入れる検査)
・鼻腔吸引液(吸引器で鼻を吸う検査)
・鼻腔拭い液(鼻の手前だけ棒でこする検査)
・鼻汁鼻かみ液(鼻をかんでもらって出た鼻水を使う検査)
・咽頭拭い液(喉を棒でこする検査)
などが紹介されています。ただ、検体の取り方によって、検体に含まれるウイルス量が変わるので、感度に差が出ます。
COVID-19は、主に鼻咽頭にウイルスが多く、鼻腔でさえインフルエンザよりも感度が落ちることが指摘されています。このため、痛いですが、鼻の奥まで入れる検査が妥当と考えます。
COVID-19の治療
抗ウイルス薬は必要?
小児のCOVID-19は、多くの場合は軽症で自然に改善します。そのため、COVID-19と診断されたすべてのお子さんに抗ウイルス薬を使用するわけではありません。健康な子どもでは、抗ウイルス薬を使用しなくても回復することが多く、解熱鎮痛薬などによる対症療法と経過観察が中心になります。
一方で、重い基礎疾患があるなど、COVID-19が重症化する可能性が高いお子さんでは、年齢、体重、発症からの期間、基礎疾患、併用薬などを確認したうえで、抗ウイルス薬を検討することがあります。
抗ウイルス薬の種類
| 薬剤 | ゾコーバ | パキロビッド | ベクルリー |
| 剤形 | 錠剤 | 錠剤 | 点滴 |
| 回数 | 1日1回×5日 | 1日2回×5日 | 1日1回 |
| 対象年齢 | 6歳~ | 6歳~ | 乳児~ |
| 副作用 | HDLコレステロールの低下 | 味覚異常、消化器症状 | 消化器症状、肝機能異常 |
| 特徴 | 小児では症状緩和に役立つ? | 重症例で使う | 入院患者で使う |
ゾコーバ
2026年6月から、COVID-19の治療については、6歳以上かつ体重20 kg以上の小児にも使用できるようになりました。成人および12歳以上を対象とした臨床試験では、発熱、のどの痛み、咳、鼻水、倦怠感などの症状が改善するまでの時間を短縮する効果が示されていますが、健康な小児に使用した場合に、入院や重症化をどの程度減らすかについては、成人ほど十分なデータがあるわけではありません。
パキロビッド
2026年3月から、6歳以上かつ体重20 kg以上の小児にも使用できるようになりました。1日2回、5日間内服します。主に、重い基礎疾患があるなど、COVID-19が重症化するリスクの高い患者さんに使用を検討する薬です。健康で重症化リスクの低いお子さんに、通常から使用する薬ではありません。
ベクルリー
入院が必要なCOVID-19や、重症化リスクが高く内服薬の使用が難しい場合などに検討される、点滴の治療薬です。
よくあるご質問
COVID-19の潜伏期間はどれくらい?
感染から3~4日程度で症状が現れることが多いと報告されています。
COVID-19はいつまで人にうつす可能性ある?
一般に、症状が現れる1~2日前から、発症後7~10日程度まではウイルスを排出する可能性があると考えられています。ただし、発症から5日を過ぎると感染性は大きく低下します。
COVID-19の治療薬はどういう子に必要ですか?
重症な方や重症化リスクの高い方以外は基本的には必要ありません。重症化リスクの高い方というのは、具体的には、心臓病や肺の病気、免疫不全などのお子さんです。
園や学校はいつから行ってよいですか?
学校保健安全法で、発熱後まる5日、かつ解熱後まる1日は出席停止となります。
